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GENERAL GUIDE 01

類似業種比準方式とは?
計算の仕組みと売買価格との違い

類似業種比準方式は、非上場株式の税務上の評価方法の一つです。

評価する会社の配当、利益および純資産を、同じような業種に属する上場会社の数値と比較して、1株当たりの評価額を計算します。

ただし、評価する人が似ている上場会社を自由に選ぶわけではありません。国税庁が業種目ごとに公表する株価等を使用し、財産評価基本通達に定められた方法で計算します。

この方法で求めるのは、主として相続税・贈与税における評価額です。その評価額が、そのまま非上場株式の売買価格になるとは限りません。

国税庁が公表する
業種別の数値と比較します

非上場株式には、証券取引所で確認できる市場価格がありません。

そこで類似業種比準方式では、評価する会社と同じような業種に属する上場会社の株価等を基準として、非上場会社の株価を求めます。

比較に使用するのは、個別に選んだ一社の上場会社ではありません。

国税庁が公表する「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等」に掲載された、業種目ごとの数値を使用します。

したがって、計算の出発点は、評価会社がどの業種目に該当するかを確認することです。

複数の事業を行っている会社では、事業別の売上高などを確認し、どの業種目を使用するかを判定します。

比較するのは
配当・利益・純資産の三つです

類似業種比準方式では、評価会社と類似業種について、主に次の三つの数値を比較します。

  • 1株当たりの配当金額
  • 1株当たりの利益金額
  • 1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)

大まかにいえば、類似業種に属する上場会社と比べて、評価会社の配当、利益または純資産が大きければ、評価額は高くなる方向に働きます。

計算の基本的な構造は、次のように表せます。

類似業種の株価
× 配当・利益・純資産の比準割合
× 会社規模に応じた調整率

配当・利益・純資産について、それぞれ評価会社の数値が類似業種の何倍に当たるかを計算します。現在の基本的な計算では、この三つの比率を合計して3で割ります。

そのうえで、会社規模に応じた斟酌率を乗じ、評価会社の1株当たりの資本金等の額に応じた調整を行います。

実際には、各数値を税務上の1株当たりの金額へ換算し、定められた端数処理を行うため、決算書の数字をそのまま計算式へ入れるわけではありません。

利益の変動は
株価に影響します

ほかの条件が同じであれば、評価会社の利益が増えると、類似業種比準価額は高くなる方向に働きます。利益が減れば、評価額は低くなる方向に働きます。

現在の基本的な計算では、配当、利益および純資産の三要素は同じ比重で計算されます。

ただし、配当や純資産と比べて利益は年度ごとの変動が大きいため、実際の評価額を動かす要因になりやすいといえます。

そのため、評価に使用する利益については、次のような点を確認します。

  • 一時的な利益や損失が含まれていないか
  • 固定資産の売却など、通常の事業活動以外の損益がないか
  • 評価直前に役員報酬や取引条件が大きく変わっていないか

利益を減らせば、自由に株価を下げられるというものではありません。取引や費用に合理性があるか、株価を不当に引き下げるための処理ではないかも確認する必要があります。

評価方法は株主の立場と
会社規模から判定します

類似業種比準方式を使用するかどうかは、会社規模だけでは決まりません。

非上場株式の評価では、まず株式を取得する人が同族株主等に該当するかを確認します。

同族株主等が取得した株式については、原則として類似業種比準方式や純資産価額方式などの原則的評価方式を使用します。

一方、同族株主等以外の少数株主が取得した株式については、配当還元方式が適用される場合があります。

原則的評価方式を使用する株主であることを確認した後、会社規模を判定します。一般的な関係は次のとおりです。

  • 大会社:類似業種比準方式が原則
  • 中会社:類似業種比準方式と純資産価額方式を併用
  • 小会社:純資産価額方式が原則

小会社についても、一定の併用方式による評価が認められる場合があります。

また、土地保有特定会社、株式等保有特定会社など、特定の評価会社に該当する場合には、通常と異なる評価方法が適用されます。

したがって、「規模が大きいから類似業種比準方式」と、会社規模だけを見て判断することはできません。

純資産価額方式とは
見ているものが違います

類似業種比準方式と並ぶ代表的な評価方法が、純資産価額方式です。

類似業種比準方式は、配当、利益および純資産を、類似業種に属する上場会社と比較します。

これに対して純資産価額方式では、評価会社が保有する資産と負債を相続税評価額等に置き換え、その差額から株価を求めます。

  • 類似業種比準方式:上場会社との比較から見る
  • 純資産価額方式:会社が保有する資産と負債から見る

多額の土地、有価証券、現預金などを保有している会社では、類似業種比準価額と純資産価額に大きな差が生じることがあります。

どちらかが間違っているのではなく、株価を見る角度が異なるためです。

M&Aで使われる
類似会社法とは別の方法です

類似業種比準方式と、M&A等で使われる類似会社法は、どちらも上場会社を参考にしますが、別の評価方法です。

類似業種比準方式では、国税庁が定めた業種目、株価、比準要素および計算方法を使用して、主として相続税・贈与税上の株価を求めます。

これに対して類似会社法では、評価対象会社と事業内容や収益構造が類似する上場会社を個別に選び、EBITDA、営業利益、純利益などに対する倍率から企業価値や株式価値を算定します。

評価の目的も、比較対象の選び方も、使用する数値も異なります。

そのため、類似業種比準価額と類似会社法による株式価値に差があっても、それだけでどちらかが間違っているとはいえません。

類似業種比準価額は
売買価格そのものではありません

類似業種比準方式によって1株1,000円と評価されても、必ず1,000円で売買しなければならないわけではありません。

しかし、税務評価額と違う金額であれば、何円でもよいわけでもありません。

株式の売買価格を検討する場合には、少なくとも次の事項を確認します。

  • 誰が株式を売り、誰が買うのか
  • 売主と買主に同族関係があるか
  • 取引前後で持株割合や支配関係がどう変わるか
  • 会社の現在の利益と将来の収益力
  • 土地や有価証券などの含み損益
  • DCF等による株式価値や実際の提示価格

たとえば、少数株主から株式を買い取ることで、買主の持株割合が過半数を超える場合があります。この場合には、買主が取得する支配権や経済的効果が、提示価格に反映されることがあります。

税務評価額との差だけを見て、売買価格が高すぎる、または安すぎると判断することはできません。

重要なのは、類似業種比準価額が何を表す数字なのかを確認し、実際の取引価格との差が生じた理由を説明できるようにすることです。

まとめ

類似業種比準方式は、評価会社の配当、利益および純資産を、類似業種に属する上場会社の数値と比較して、非上場株式の税務上の評価額を求める方法です。

一方で、この方式による評価額は、会社を第三者へ売却した場合の価格や、DCF等によって求めた会社の経済価値を直接示すものではありません。

類似業種比準価額を計算して終わりではありません。

誰が、誰から、何のために株式を取得するのかを確認し、その評価額を今回の取引でどのように使うのかまで整理することが重要です。

参考資料

※本記事は、相続税・贈与税における一般的な評価方法を説明したものです。実際に適用される評価方法および課税関係は、会社、株主、取引目的、評価時点等によって異なります。

税務評価額は計算できた。しかし、その価格で売買してよいか分からない。

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