FAQ

非上場株式の
株価・売買・税務 FAQ

税務評価額で売らなければならないわけではありません。しかし、何円でもよいわけでもありません。

誰が誰へ、何のために株式を動かすのかによって、確認すべき税務上の時価や株価は変わります。

「結局、この株をいくらで動かせばよいのか」を考えるための判断順序に沿って回答します。

税務評価額と売買価格について

Q1税務評価額で売らなければいけませんか?

いいえ。税務評価額は、実際の売買価格を決めるルールそのものではありません。

税務評価額は、相続、贈与、低額譲渡、高額譲渡などの課税関係を検討するために求める価格です。実際の売買価格は、会社の経済価値、取得する株式数、持株割合、支配権、取引条件、交渉などを踏まえて、売主と買主が合意して決めます。

ただし、税務評価額と異なる価格で取引する場合には、その差が生じた理由を確認する必要があります。

Q2では、売主と買主が合意すれば何円でもよいのですか?

いいえ。当事者が合意した価格であっても、税務上必ず問題がないとは限りません。

売主と買主の属性や関係によっては、低額譲渡、高額譲渡、贈与、受贈益などが問題になる可能性があります。また、法人が株式を高い価格で買い取る場合には、なぜその価格で取得する必要があったのかという経済的な合理性も確認する必要があります。

合意した事実だけでなく、価格を決めた理由と経緯が重要です。

Q3税務評価額より高く売ってもよいですか?

税務評価額より高く売ること自体が、直ちに問題になるわけではありません。

買主が支配権を取得する場合や、持株割合を高める場合、M&Aによるシナジーを見込む場合などには、提示価格が税務評価額を上回ることがあります。

ただし、買主が法人の場合には、取得する利益や取引条件に照らして、その価格を支払う合理的な理由があるかも確認します。

Q4税務評価額より安く売ってもよいですか?

誰から誰へ売るのかによって、税務上の問題が変わります。

特に、親族間、同族関係者間、個人と法人の間で時価より低い価格による取引を行う場合には、売主または買主に課税関係が生じる可能性があります。

税務評価額との差だけで判断せず、売主側と買主側の両方を確認します。

Q5配当還元方式で出た株価で売る必要がありますか?

いいえ。配当還元方式による評価額が、そのまま売買価格になるとは限りません。

配当還元方式は、一定の少数株主について、配当を基礎として税務上の評価額を求める方法です。実際の売買価格には、会社全体の経済価値、取得後の持株割合、支配権への影響、他株主への提示条件などが反映されることがあります。

Q6第三者同士なら、自由に価格を決められますか?

独立した第三者同士が、十分な情報をもとに交渉して合意した価格は、重要な判断材料になります。

ただし、「第三者同士」というだけで、どのような価格でも税務上認められるとは限りません。当事者間の関係、情報量の差、売却を急ぐ事情、取引目的、交渉経緯、会社の経済価値などを確認します。

価格差がある場合の考え方は、「税務評価額で売らなければいけないの?」でも整理しています。

「誰から誰へ」と税務について

Q7売主と買主で、税務上の時価が違うことはありますか?

あります。

非上場株式では、売主と買主の属性、同族関係、株主としての立場、持株割合などによって、確認すべき税務上の時価が異なる場合があります。売主側で算定した評価額を、そのまま買主側にも当てはめられるとは限りません。

取引価格を検討するときは、売主側と買主側の両方を確認します。

Q8個人から法人へ売る場合と、法人から個人へ売る場合では違いますか?

異なります。

個人と法人では適用される税法が異なり、時価より低い価格または高い価格で取引した場合の課税関係も同じではありません。

  • 個人から個人
  • 個人から法人
  • 法人から個人
  • 法人から法人

同じ会社の同じ株式を同じ価格で売買しても、売主と買主の組合せによって結果が変わる可能性があります。

Q9従業員は税務上の第三者として扱われますか?

「従業員だから第三者」と一律に判断することはできません。

親族関係、役員か従業員か、会社や株主との関係、取得後の株主区分、取得目的、価格を決めた経緯などを確認します。従業員が買える金額にしたいという事情だけで、売買価格を決めることはできません。

Q10少数株主なら、必ず配当還元方式を使えますか?

必ず使えるわけではありません。

配当還元方式を使えるかどうかは、保有株式数だけでなく、株主区分、同族関係、持株割合などの条件によって判断します。また、税務評価で配当還元方式を使える場合でも、実際の売買価格まで配当還元価額にしなければならないわけではありません。

Q11親族に売買すれば、贈与にはなりませんか?

売買という形式にすれば、必ず贈与の問題がなくなるわけではありません。

売買価格が税務上確認すべき時価より低い場合には、価格差について贈与等の問題が生じる可能性があります。代金の支払能力、実際の支払状況、売主と買主の関係、価格決定の理由も確認します。

取引当事者による違いは、「非上場株式の税務は『誰から誰へ』で変わります」もご覧ください。

税務評価・DCF・株価算定について

Q12税務評価とDCFでは、どちらを使えばよいですか?

どちらか一方を正解として選ぶ問題ではありません。

税務評価は課税関係を検討するための評価です。DCFは、会社が将来生み出すキャッシュ・フローなどから経済価値を検討する方法です。目的が異なるため、結果が違ってもおかしくありません。

今回の取引で、それぞれの数字を何のために確認し、どのように使うのかを整理します。

Q13DCFを計算すれば、売買価格が決まりますか?

いいえ。DCFを計算しても、売買価格が自動的に決まるわけではありません。

DCFの結果は、事業計画、割引率、継続価値、余剰現預金、有利子負債などの前提によって変わります。実際の売買価格には、取得する株式数、持株割合、支配権、シナジー、支払条件、交渉経緯なども影響します。

DCFは取引価格を考える重要な材料ですが、取引価格そのものではありません。

Q14複数の評価結果が出た場合、平均を取ればよいですか?

単純に平均すればよいとは限りません。

DCF、類似会社法、純資産から見た評価、税務評価では、評価の目的、対象、前提が異なります。まず、それぞれが何を測っているのか、使用した前提に合理性があるか、今回の取引との関係が強いかを確認します。

複数の評価方法を使う目的は、平均値を出すことではなく、差が生じた理由を理解することです。

Q15純資産を株式数で割った金額が、1株の価値ですか?

一つの参考にはなりますが、その金額がそのまま売買価格になるとは限りません。

帳簿上の資産・負債と実際の価値が異なることがあります。特に、多額の現預金、投資有価証券、不動産、回収が難しい債権、含み損益、簿外債務などを確認する必要があります。

会社の収益力や将来性も、単純な帳簿純資産には表れません。

Q16AIで株価を計算すれば十分ですか?

AIは、資料の整理、計算、複数の評価方法の比較などに役立ちます。

今後、税務評価やDCFの計算は、さらに簡単になると考えられます。しかし、どの評価が必要か、誰の立場の株価か、前提は妥当か、価格差をどう説明するかは、取引内容を踏まえて判断する必要があります。

計算だけでは、取引価格は決まりません。

Q17株価算定書があれば、税務署に否認されませんか?

いいえ。株価算定書があることだけで、税務上の取扱いが保証されるわけではありません。

重要なのは、算定目的、評価方法、使用資料、前提条件、取引当事者の関係、価格決定の経緯です。なぜその評価方法を使い、なぜその価格を採用したのかを説明できるようにする必要があります。

評価方法の違いは、「税務上の株価」と「税務評価とDCF」で整理しています。

具体的な株式売買について

Q18従業員や役員に自社株を売るとき、何を確認しますか?

取得時の価格だけでなく、取得後と退職時まで確認します。

主な確認事項は、税務上の時価、取得後の持株割合、議決権、配当、譲渡制限、退職時の取扱い、将来の買取価格です。取得しやすい価格だけを優先すると、税務や将来の買戻しで問題が生じる可能性があります。

Q19親族や後継者に株式を売るとき、何を確認しますか?

売主と買主の課税関係、代金の支払能力、実際の支払い、取得後の支配関係を確認します。

また、売買だけでなく、贈与、相続、組織再編など、他の方法との比較が必要になることもあります。相続税評価額をそのまま売買価格にすれば、必ず問題がないとは限りません。

Q20少数株主から提示された価格が高いかどうかは、どう判断しますか?

少数株主側の税務評価額だけでは判断できません。

会社全体の経済価値、取得前後の持株割合、支配権への影響、他株主への提示価格、過去の買取実績、第三者算定、交渉経緯などを確認します。少数株主にとっての1株と、買主が取得する1株では、その意味が異なる場合があります。

Q21会社が自己株式として買い取る場合も、通常の売却と同じですか?

同じではありません。

税務上は、売主が受け取る金額の一部が、株式譲渡の対価ではなく、みなし配当として扱われる可能性があります。会社側では、取得理由、会社資金で買い取る合理性、価格の決定方法を確認します。

さらに、分配可能額などの会社法上の手続や、他の株主との公平性も確認する必要があります。法律判断が必要な部分は、弁護士と連携します。

Q22M&A価格が税務評価額より高くても問題ありませんか?

税務評価額より高いという事実だけで、直ちに問題になるわけではありません。

M&A価格には、会社の収益力、保有資産、支配権、買収後のシナジー、競争状況、契約条件などが反映されることがあります。一方で、支配権やシナジーがあるから何円でもよいわけではありません。

第三者算定、他株主への提示条件、価格決定の経緯を含めて、価格差を説明できるようにします。

従業員への譲渡、親族間売買、少数株主からの買取り、自己株式取得については、ケース記事もご覧ください。

ご相談・ご依頼について

Q23価格を決める前に相談した方がよいですか?

可能であれば、正式な価格を提示したり、契約を締結したりする前にご相談ください。

取引後に税務上の問題が分かっても、価格や契約条件を変更することが難しい場合があります。まだ評価方法や予定価格が決まっていない段階でも構いません。

Q24相談には、どのような資料が必要ですか?

最初からすべての資料が揃っている必要はありません。

最初に、売主・買主、株式数と予定価格、取引目的、現在出ている税務評価額や提示価格、取引予定時期を確認します。

その後、必要に応じて直近の決算書・申告書、株主名簿、定款、過去の株式売買資料、税務評価書・株価算定書、提示条件、事業計画などをご案内します。

Q25相談料金はいくらですか?

初回打ち合わせは無料です。オンラインで30分程度、取引の概要とお困りの点を伺い、当事務所で対応できるか、どのような検討が必要かをご説明します。

相談・予備検討は10万円(税別)です。

取引内容、現在出ている株価、税務上の主な論点、DCF等の必要性、正式な検討へ進む必要性を整理します。

正式な株価算定・取引価格検討は50万円(税別)からです。会社の規模、株主構成、資料、評価方法、取引の複雑性によって料金と納期は異なり、正式なご依頼前にお見積りします。

すでに顧問税理士や弁護士がいる場合も、既存の関係を変えず、必要な部分だけをご依頼いただけます。

FAQを読んでも、自分の取引がどのケースに当たるか分からない。

ご自身で相談内容を
分類する必要はありません。

誰が誰へ、何のために、いくらで株式を動かす予定なのかを伺い、必要な株価と検討事項を整理します。

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