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CASE 02

従業員に自社株を売るとき、
いくらにする?

会社への参加意識を高めるため、従業員に自社株を持ってもらいたい。
将来の後継者候補に、少しずつ株式を移したい。

しかし、従業員が買える金額まで株価を下げても問題ないのか。税務評価額で売ればよいのか。退職したときは、誰がいくらで買い戻すのか。

従業員への自社株売却では、取得時の価格だけを決めても十分ではありません。

誰が何のために株式を売るのか、従業員がどのような株主になるのか、退職時にどうするのかまで一緒に設計する必要があります。

「従業員が買える金額」だけでは
決められません

従業員の負担を抑えるため、できるだけ安く売りたいと考えることがあります。

しかし、「従業員が買える金額だから」という理由だけで売買価格を決めることはできません。税務上確認すべき時価より低い価格で売却すると、価格差について課税上の問題が生じる可能性があります。

一方で、税務評価額をそのまま売買価格にすれば、必ず問題がないとも限りません。

確認するのは、主に次の3つです。

  • 税務上確認すべき株価
  • 従業員が取得する株式の経済的な価値
  • 実際に予定している売買価格

これらに差がある場合は、なぜその価格にしたのかを説明できるようにしておく必要があります。

まず「誰の株を誰に売るのか」を
整理します

同じ従業員への株式移転でも、経営者個人が保有株式を売る場合と、会社が自己株式を処分する場合とでは、取引の形や検討すべき税務上の論点が異なります。

買主についても、一般の従業員なのか、役員なのか、将来の後継者候補なのかによって、株式を持ってもらう目的が変わります。

最初に確認するのは、次のような事項です。

  • 誰が株式を売るのか
  • 誰が取得するのか
  • 何株を、いくらで売る予定なのか
  • 取得後の持株割合は何%になるのか
  • 経営参加、報奨、事業承継など、何を目的としているのか

評価方法を先に選ぶのではなく、取引の全体像から必要な株価を特定します。

その株式によって
何を得るのかを確認します

従業員が株式を取得しても、経営にほとんど影響を与えられない場合があります。一方、将来の追加取得を前提とし、後継者として一定の議決権を持たせる場合もあります。

そこで、価格だけでなく、取得する株式の内容を確認します。

  • 取得後の持株割合と議決権
  • 配当を受ける権利
  • 経営への関与
  • 株式の譲渡制限
  • 将来の追加取得の予定

同じ会社の1株でも、それによって得られる権利や取引後の立場が異なれば、価格を検討する前提も変わります。

取得時と退職時を
セットで決めます

従業員への自社株売却で見落としやすいのが、退職後の取扱いです。

従業員が退職した後も株式を持ち続ければ、元従業員が会社の株主として残ります。従業員が死亡した場合には、その相続人が株主になる可能性もあります。

将来の問題を避けるため、取得時に少なくとも次の点を検討します。

  • 退職時に株式を売却してもらうのか
  • 誰が買い取るのか
  • 買取価格をどのように決めるのか
  • 死亡や長期休職の場合をどう扱うのか
  • 従業員が第三者へ売却できるのか

特に重要なのが、将来の買取価格です。

当初の取得価格で買い戻すのか、退職時の株価を算定するのか、あらかじめ定めた計算方法を使うのか。会社の成長によって株価が大きく変われば、売る側と買う側の利害が対立する可能性があります。

取得時の安さだけでなく、将来どのように株主関係を終わらせるかまで決めておく必要があります。

予定価格を選んだ理由を残します

売買価格を決めるときは、税務評価額を計算して終わりではありません。

次の事項を整理し、予定価格との関係を確認します。

  • 税務上の株価を誰の立場から算定したか
  • どの時点の会社状況を反映しているか
  • 従業員が取得する株式数と持株割合
  • 配当や議決権など、取得する権利の内容
  • 売買価格を決めた経緯
  • 税務評価額などとの差をどのように説明できるか
  • 取引時にどの資料を残しておくか

事業承継や経営参加という目的があっても、何円でもよいわけではありません。

反対に、税務評価額で売らなければならないわけでもありません。

重要なのは、今回の取引に必要な株価を確認し、その価格を選んだ理由を説明できるようにすることです。

従業員に売る前に、
価格と出口を確認する

従業員への自社株売却では、次の4点を一緒に検討します。

  • 誰から誰へ株式を動かすのか
  • 取得時の価格をいくらにするのか
  • 従業員にどのような権利を持たせるのか
  • 退職時や将来の売却をどうするのか

当事務所では、税務上確認すべき株価と予定価格を比較し、価格差の理由を整理します。あわせて、取得後の持株割合、配当・議決権、譲渡制限、退職時の取扱い、将来の買取価格を確認します。

取得時の価格だけでなく、
将来の出口まで含めて整理します。

従業員に株式を持ってもらいたいが、価格も将来の扱いも決まっていない。

従業員へ売る株価を相談する

その段階で構いません。まず、予定している取引の全体像から整理します。

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