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GENERAL GUIDE 03

配当還元方式とは?
少数株主なら低い株価で
買い取ってよいのか

少数株主が保有する非上場株式について、配当還元方式で低い株価が算定された。

会社には多額の利益や純資産があるものの、配当はほとんど行われていない。

この場合、配当還元価額で株式を買い取ってよいのでしょうか。

配当還元方式は、同族株主以外の株主等が取得した株式について用いられる、相続税・贈与税上の特例的な評価方式です。

少数株主の立場を反映した評価方法ですが、その評価額が実際の買取価格になるとは限りません。

配当を受ける権利から株価を求めます

配当還元方式は、その株式から受け取る配当を基礎として株価を求める方法です。

大まかな計算の構造は、次のようになります。

年配当金額
÷ 10%
= 配当還元価額

実際には、資本金等の額を50円に換算するなどの調整を行い、一株当たりの価額を求めます。

年配当金額は、原則として直前期末以前2年間の配当実績を基に計算します。特別配当や記念配当など、継続性のない配当は除かれます。

無配でも計算上の年配当金額は
ゼロになりません

配当が行われていない会社でも、株価がゼロになるわけではありません。

計算上の年配当金額が2円50銭未満となる場合や、無配の場合には、2円50銭として計算します。

また、配当還元方式による価額が原則的評価方式による価額を超える場合は、原則的評価方式による価額を使います。

したがって、配当還元方式は常に極端に低い株価になると保証された方法ではありません。

少数株主なら必ず使えるわけではありません

配当還元方式を使えるかどうかは、本人の持株割合だけでは決まりません。

まず、同族株主がいる会社かどうかを確認し、本人だけでなく親族や関係会社などの議決権を合計して判定します。そのうえで、中心的な同族株主や中心的な株主に該当するか、取得後の議決権割合がどうなるか、役員であるかなどを確認します。

本人の持株割合が5%未満でも、同じ同族関係者グループ全体では会社を支配している場合があります。

「5%未満の株主だから配当還元方式」とは限りません。

株主構成と取得する人の立場を確認して、適用の可否を判断する必要があります。

同じ会社の株式でも、取得する人によって評価額が変わります

同族株主等が取得する株式は、原則として類似業種比準方式や純資産価額方式などで評価します。

一方、同族株主以外の少数株主等が取得する株式には、配当還元方式が用いられることがあります。

支配株主は、役員の選任、配当方針、事業運営、会社資産の利用などに影響を与えられます。少数株主には通常、そのような支配力がありません。

この立場の違いを反映するため、同じ会社の同じ株式であっても、取得する人によって税務上の評価額が変わることがあります。

配当還元価額が低くても、会社の価値が低いとは限りません

配当還元方式は、会社全体の利益や純資産ではなく、株主が受け取る配当に着目する方法です。

そのため、会社が多額の現預金、土地、有価証券などを保有していても、配当が少なければ配当還元価額は低くなることがあります。

  • 配当還元価額:株主が受け取る配当から見た税務上の価額
  • 純資産価額:会社に蓄積された財産から見た税務上の価額

二つの価額は、見ている対象が異なります。配当還元価額が低いからといって、会社の財産や事業そのものの価値が低いと判断することはできません。

配当を決めるのは、通常は支配株主側です

少数株主は、通常、自分の意思だけで会社に配当を行わせることはできません。

会社に十分な利益や資金があっても、支配株主側が配当を行わなければ、配当実績は低いままです。その結果、純資産価額や会社全体の価値との間に大きな差が生じることがあります。

配当還元方式が税務上使えるかという問題と、支配株主や会社がその価額で少数株主から買い取ることが妥当かという問題は、分けて考える必要があります。

特に次の事項を確認します。

  • 配当を決定してきたのは誰か
  • 会社に配当可能な利益や資金があるか
  • 過去の配当が低く抑えられていないか
  • 買取り後に買主の持株割合がどう変わるか
  • 買主が取得によって支配権や経済的利益を得るか

配当還元価額は、実際の買取価格そのものではありません

配当還元方式は、相続税・贈与税における特例的な評価方法です。

株式の売買、自己株式の取得、株主間の価格交渉で、その価額をそのまま使わなければならないわけではありません。

実際の買取価格を検討するときは、配当還元価額に加えて、次の事項を確認します。

  • 類似業種比準価額や純資産価額
  • 会社の将来の利益やキャッシュフロー
  • 現預金、土地、有価証券などの保有資産
  • 過去の配当実績と今後の配当可能性
  • 株式の譲渡制限と換金可能性
  • 売主と買主の関係
  • 取引前後の持株割合
  • 買取りによって買主が得る支配権や経済的効果

例えば、少数株主から株式を買い取ることで買主の議決権割合が過半数を超える場合、その株式には配当を受ける権利だけでは表せない意味があります。

税務上使える価格と、取引に使う価格を分けて考えます

配当還元価額が一株500円、純資産価額が一株5,000円となることもあります。

このとき、500円か5,000円のどちらかが直ちに正しいということではありません。

まず、相続税・贈与税上どの評価方式が適用される株主なのかを確認します。そのうえで、実際の取引では、その株式が持つ経済的価値と取引条件を検討します。

配当還元価額は、少数株主の立場を反映した重要な判断材料です。しかし、実際の買取価格を自動的に決める最終回答ではありません。

誰が誰から何株を買い取り、その結果として何を得るのかまで確認して、予定する取引価格を検討します。

参考資料

※本記事は、相続税・贈与税における一般的な評価方法を説明したものです。実際に適用される評価方法および課税関係は、会社、株主、取引目的、評価時点等によって異なります。

配当還元価額は計算できた。しかし、その価格で買い取ってよいか分からない。

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